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教育実践例
情報を基調とする総合型高校における専門教科「情報」の授業
福岡県立嘉穂総合高等学校 倉光浩二
kuramitsu@nifty.com
http://kuramitsu.cocolog-nifty.com/
1.はじめに
 本校は,福岡県の県立高等学校再編整備基本計画に基づき,情報科学高校としての理念のもと,本年4月に開校した新設校です。再編の対象となった学校は,山田高等学校(普通科)・嘉穂工業高等学校(工業科)・嘉穂中央高等学校(農業科・商業科・家庭科)の3校です。平成19年度中に実施される嘉穂郡桂川町の公用地への新築移転に向けて,現在新校舎の設計を行っているところです。
 嘉穂総合高等学校は,普通科情報総合コース・地球環境システム科・ロボットシステム科およびITシステム科の4つの学科で構成される総合型高校です。私が学科主任を務めているITシステム科は,県下初の情報専門学科でもあります。
2.学校の理念
 先に述べましたように,嘉穂総合高等学校は,情報を基調とした教育を行う情報科学高校という理念のもとに設立されました。私は,学校創立と同じく平成16年11月1日付で前任校の太宰府高等学校から異動し,嘉穂総合高等学校に赴任しました。待っていたのは,ITシステム科の主任に加えて,校務分掌の柱の1つである情報管理部の主任という大きな職責でした。
 私がまず手がけたのは,情報を基調とした学校であるという理念を内外に広くアピールするために親しみやすく表現することです。
 再編の母体の1つでもあり,現時点での設置場所でもある嘉穂中央高等学校は,前身が古くからの歴史を有する農業高校です。そこで農の分野ではおなじみのECOを合い言葉として借用することにしました。ここでのECOとは,Elearning,CommunicationおよびOpenspaceの頭文字です。
情報を基調とする理念(ECO
▲情報を基調とする理念(ECO)

 それぞれの言葉を,中学生等には次のように説明しています。
・E-learning=電子機器を用いた最先端の学習
・Communication=人と人との交わり
・Open space=みんなの共有空間
 嘉穂総合高校はこの3つをサブシステムとし,システムとしての情報教育を土台に学校教育全般を行うというコンセプトを立てました。
3.ECOの取り組み
 ECOというサブシステムを実現するために,ネットワークを可能な限り整備し,同時に県のリースや産振の予算をもとにハードウェアとソフトウェアを整備しました。

(1)E-learning
 E-learning教材としては,次の4つのソフトウェアを導入しました。
・ブリタニカ国際百科事典(ブリタニカジャパン社)
・はじめてITネット(農文協)
・こうして進める地域の環境調査(農文協)
・食生活を考えよう(農文協)

(2)Communication
 Communicationのシステム作りのために次のソフトウェアを導入しました。
・コミュニケーションサーバ(デジタル・アーツ社)
 このソフトは,イントラネット上で動作する一種のグループウェアで,生徒同士あるいは,生徒と教師がネット上でコミュニケーションすることを可能にするものです。特筆すべきは,フィルタリング機能の充実です。ウェブサイト上のフィルタリングi-filterと,メールや掲示板等における言葉のフィルタリングm-filterの二本立てになっており,安心して使用できるのです。
 これらのソフトウェアに関しては,すべて校内無制限ライセンスを取得しており,内容をウェブ等に掲載する許可もいただいています。

(3)Open space
 Open spaceとして,生徒たちが自由時間にもっとも集う場所である図書館を選びました。
図書館に設置された生徒用パソコン
▲図書館に設置された生徒用パソコン
 インターネットやイントラネット,それにE-learning教材を自由に使えるコンピュータを4台とプリンタを1台設置することにしました。利用度は大変高く,2校の生徒が仲良く調べ学習等で活用している姿をいつも見受けることができます。
4.ITシステム科の設置
 情報を専門的に学べる県下初の学科として本校に設置されたのがITシステム科です。コンピュータやインターネットに関する知識と,それを道具として自由自在に活用できる技術を身に付けさせることが目標です。2年次からシステム専攻とマルチメディア専攻に分かれ,興味関心のある科目を学習できるようにしています。

(1)各専攻の目標
■システム専攻

 システム設計やプログラミングの学習を中心として,コンピュータを活用できる能力を身に付けさせます。また,企業においてシステムエンジニア,プログラマとしての業務を行うための知識や技術の習得も目標としています。
■マルチメディア専攻
 マルチメディア関連の学習を中心として,コンピュータを自由自在に活用できる能力を身に付けさせます。また,企業において情報システム,ネットワークを活用して職場の情報処理業務を改善するリーダーとしての知識や技術の習得を目標としています。
(2)特色ある科目(学校設定科目)
■共通科目

「ネットワークシステム演習機Ν供
 福岡県が専門高校約20校で実施しているシスコ・ラーニングアカデミーの授業です。専門性の高い実習が行え,生徒の情報活用能力向上が大いに期待できます。
■システム専攻
「情報技術業務」
 基本情報技術者の資格取得を目標に検定用の教本を用いて行う授業です。
■マルチメディア専攻
「システム管理業務」
 初級システムアドミニストレータの資格取得を目標に検定用の教本を用いて行う授業です。

(3)学習のアドバイス
 本校では,教科・科目ごとのシラバスに加え,学科シラバスおよび検定シラバスを作成しています。以下の内容は,ITシステム科1年生の学科シラバスに,私が『確かな学習のためのアドバイス』と題して寄せたものです。
 「情報」は,高度情報通信社会における“生き方”を学ぶ教科です。コンピュータを中心とする技術面の向上にのみ心を奪われることなく,自分自身の“生き方”をしっかりと見据えて学習に臨みましょう。
 何よりもまず,情報を取り扱う上でのモラルとネットワーク上のエチケットであるネチケットを身につけてください。原子力が戦争で用いられて多くの人の命を奪う結果になったように,科学技術は使い方を間違うと大変な災厄をもたらします。みなさんは,ITのスペシャリストとして誰よりも心正しき人になってください。
 “生き方”を学ぶためには,コンピュータに接してばかりいてはいけません。教室で黒板の内容や先生の話をしっかりノートに書き取り,自分の頭で考えながら授業を受けましょう。皆さんの頭脳に記憶されるのは,ノートの形です。自分の手で書いたノートは世界に1冊しかない最高の参考書なのです。「情報産業と社会」そして「情報と表現」の勉強を基本に忠実にきちんと行い,基礎力を固めてください。この一年で身につけた知識こそがみなさんの生涯の土台となります。
 「情報実習」を中心とする技術面の学習では,当面ワープロ検定3級に全員合格することを目標に,タイピングのマスターを心がけましょう。コンピュータを使いこなすためには,一つの作業にかかる所要時間を極力短くすることが肝要です。タッチタイプを身につけて,キーボードを自由自在に操れることが,ITスペシャリストへの第一歩といっても過言ではないでしょう。実習の中で取り扱うソフトウェアは,どれもIT産業に必要不可欠なものです。ここでも基本をおろそかにせず,先生の指導を素直に受け取り,1つひとつマスターしていきましょう。課題を与えられたら,まず指示を正確に守り,期日に遅れないように提出しましょう。創意工夫をこらしたり,仲間と協力して作品づくりをしたりできるとさらに高評価がもらえるでしょう。
5.ITシステム科の授業実践
(1)専門教科「情報」授業形態
 現在,1年生のカリキュラムとして,「情報産業と社会」「情報と表現」および「情報実習」の3科目を取り入れています。「情報産業と社会」「情報と表現」は,主に座学の形で,教科書に基づいた授業を展開しています。シラバスに記載した通り,授業におけるノート作りに力を入れて指導しています。その意義をきちんと理解し,自分なりのノート作りを工夫する生徒も多く,学習効果が上がっています。来年度受験する基本情報技術者・初級システムアドミニストレータの資格試験対策用ノートにつながるものを作るように,指導しているところです。次に示すのは生徒のノート2例です。いずれも私の指示通り,上段は板書をそのまま写し,下段は自分で創意工夫して発展学習を行っています。

生徒のノート例1
▲生徒のノート例1

生徒のノート例2
▲生徒のノート例2

 教科「情報」における授業ノートづくりに関して,生徒がこのような感想を寄せくれました。

 先生の授業は私にとってとても楽しいものです。二つのことを一度にやることは私にとって難しく,話を聞きながらノートをとるのは大変でしたが今までより集中力がつき,とても有意義なものになったと思います。

(2)具体的な授業実践例
 具体的な授業内容として,例えば「情報産業と社会」の高度情報通信社会とモラルの単元では,次のようなプリントを自作し,導入で生徒に与えて問題意識を持たせ,具体的な内容に入っています。実際には,A〜Zまで26問ありますが,ここではスペースの関係で,特に間違いやすい10問を選んで載せておきます。参考文献として主に用いたのは,
 一番町綜合法律事務所監修「PC&ネットの違法合法ジャッジ!」株式会社 宝島社2003年刊です。
「違法?合法?」
1. A君はコピーコントロールされたCDを気づかずにパソコンに取り込んだ。
2. Bさんは雑誌の付録についていた海外のオンラインソフトを使ってDVDをコピーした。
3. C君はレンタルしてきたCDから自宅用と車用と2枚のコピーをCD-Rで作り使用した。
4. Dさんはテレビ番組をパソコンで録画し友人に貸すためにDVD-Rにダビングした。
5. E君は友人から借りたCDを自宅のコンピュータのハードディスクに録音した。
6. G君は自分のバンドでオリジナル曲とメジャーアーティストの曲を演奏し,そのライブ映像をホームページで公開した。
7. K君は自分の,文字と画像からなるWebページとデザインから構成まで全く同じWebページを発見し著作権侵害で訴えた。
8. Q君は今までWindows XPが入っていたパソコンをLinuxに換え,新しく買ったパソコンにWindowsXPを入れて使った。
9. Tさん(社会人)は学生の弟に頼んでアカデミックパックのソフトを買い使った。
10. Z君(社会人)はWebページに掲載されているフリー(無料)素材集を利用してお客さんに対するプレゼンテーションを行った。
正解は,
1.○ 2.× 3.○ 4.× 5.○
6.× 7.× 8.○ 9.× 10.×
です。理由は,読者のみなさまが,ご自分でお調べ下さるとよいかと思います。もちろん,判決上合法であっても,モラル上は好ましくないという行為もあるので,十分配慮して行動するように指導していることは言うまでもありません。
 また,「情報産業と社会」「情報と表現」いずれも,考査前に生徒のまとめ学習として,ワープロ検定でも使用するMicrosoft Wordを用いて4択問題を作らせています。授業支援ソフトでファイルの配布・回収を行い,茨城県立岩井高校提供のWeb問題作成ツールを用いて,クイズの形に整えます。
 出来上がったものをグループウェアのWebサーバに置き,生徒に解かせています。生徒たちは,自分たちが作った問題が集まって,100数十問にもおよぶ立派な4択クイズができたという事実に達成感を感じますし,一生懸命取り組んで,知識の整理にも役立ててくで,知識の整理にも役立ててくれます。考査問題にも,生徒が作ったものを一部出題するようにしています。
6.ITシステム科の外部連携
 本校は,「外部連携」を大きな特色として掲げています。学校が位置する飯塚市がアジアIT特区に指定されていることもあり,同じ地域にある九州工業大学情報工学部との連携事業を行っています。今年度の主な取り組みとして,教職希望の学生さんによるワークショップを紹介します。
 「情報産業と社会」と「情報と表現」の2科目のゲスト講師として,学生さんが4〜5名ずつ8班に分かれて参加してくれました。
 各テーマは,次の通りです。
■コンピュータの外側と内側
■情報産業を支える基礎技術
■情報化の光と影
■「機械」と「情報」の融合
■情報システムが現代にどう利用されているか
■情報が将来にどう生かせるか
■ディジタル技術の進歩
■インターネットの未来予想図
 この取り組みが,地元紙に大きく掲載されたり,九州工業大学の公式ウェブ上で紹介されたりしました。生徒にとって,大いに励みになったようです。
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