本学は教育学部として教員養成を想定しており,情報教育のカリキュラム作成にも常に新しい教育課題に留意している。平成18年2月に中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会では,次の学習指導要領の改訂に向けて「審議経過報告」が示された。この報告から教育の内容,方法をさらに改善,充実させることによって現行の「生きる力」の育成を維持し,さらに徹底させる方向であることが読み取れる。特に注目すべき点は,筆者なりに以下の3つであると考えた。
1つは,各教科等で「言葉」や「体験」などの学習や生活の基盤づくりが重視された点。もう1つは,各教科等を通して横断的に育むべき能力として以下の4つを示したこと。
(1)感性に基づいて情報を処理する力
(2)理性に基づいて情報を処理する力などを通じて,体験から知識・技能を獲得し,深め,実際に活用するための基盤となる力
(3)知識・技能を実際の生活や学習において活用する力
(4)課題探究や創意工夫をすることで,課題自体を発見したり,課題を解決したりする力
最後の1つは,基礎的・基本的な知識・技能を確実に身につけさせる「習得型」の学びと,問題解決的な学習に代表されるような,実際に探求し考える力を養う「探求型」の学びに加えて,「活用型」の学びが新たにつけ加えられた点である。「活用型」について記述された別の箇所を以下に示す。
習得と探究との間に,知識・技能を活用するという過程を位置付け重視していくことで,知識・技能の習得と活用,活用型の思考や活動と探究型の思考や活動との関係を明確にし,子どもの発達などに応じて,これらを相乗的に育成することができるよう検討を進めている(審議経過報告,2 教育内容等の改善の方向,16頁)
この審議経過報告では,今回はじめて提示された「活用型の学び」と,8回もの記述箇所がある「感性」に注目したい。活用型の学びついては特に詳しくは説明されていないが,習得した知識・技能を学習者の身近な生活や課題と関連させて考えさせるより適切な場を設定することが授業者に求められているととらえた。すなわち,新しい学習指導要領では,学習者に感性(視覚,聴覚,嗅覚,味覚,触覚などの五感や価値あるものに気づく感覚)を意識させ,生活に密着した学ぶ必然性を実感させるような学びを創出することが授業者により明確な形で求められるであろう。そして,この活用型の学びの中心になるものがICTだと考えられる。単なるコンピュータの知識やスキルの習得ではなく,「活用型の学び」の中心的な役割を果たすICTの在り方の検討こそが,これからの情報教育の中心となるであろう。図2にそのイメージ図を示した。

▲図2「活用型の学び」の中心的な役割を果たすICTのイメージ図
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